彼女が綺麗に痩せた理由 - ダイエットショートストーリー

第1話 きっかけは突然に

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その日明日香は、週末の合コンに着て行く服を買うために友達の加奈子とショッピングに来ていた。
実は、ここ数か月の間にまた3キロほど太ってしまい、勝負服のワンピースが着られなくなっていたのだ。

何軒かの店で買い物を済ませ、休憩に入ったカフェで、明日香はアイスカフェモカとチョコバナナクレープを頼んだ。

加奈子はアイスコーヒーを飲みながら、生クリームとチョコレートシロップたっぷりのカフェモカに、さらにガムシロップを注ぐ明日香を見て眉をひそめる。

「明日香、いくらなんでも、それ甘すぎない?」
「そんなことないわよ」

あっという間にチョコバナナクレープを食べ終えてカフェモカを飲み干し、グラスの縁に残った生クリームも全部スプーンですくって口に入れた明日香に、加奈子は思わず、「だから太るのよ」と言いそうになったけれど、なんとか言葉を飲み込んだ。

カフェの後でふたりが入ったのは、合コンに着ていけば必ず男性からメルアドを聞かれるという噂がまことしやかに流れるOLに人気のブランドショップだ。

「いらっしゃいませ」
化粧が上手くてスタイルの良い店員がすました声で言う。

明日香は一瞬、店員が加奈子だけを見ているように感じたが、きっと気のせいだろう。

すぐに目当ての服を見つけて試着室に入った加奈子に倣って、明日香もワンピースを手に試着室に向かおうとした。

すると、すました声の店員が明日香に声をかけてきた。

「お客様、申し訳ございませんが、そちらは38サイズです。お客様にはちょっと……」
「そ、そうですか…… じゃあ、えっと、40サイズを……」
「承知いたしました」

短く答えた店員が奥から持ってきたワンピースを手に試着室に入る。

鏡の前でワンピースを体にあてると、うん、なかなかいい感じだ。
立体裁断されているこのブランドの服は、体のラインをきれいに見せてくれるのだという。

少し手間取ったなんとかワンピースに体を入れて、あとは、ファスナーを閉めるだけになった。
後ろに手を回してファスナーを上げていく。

「うっ……」
やっぱり、ちょっときついかな、でもこの生地伸びるし……

ところが、ウエストの辺りでファスナーが止まって上がらなくなった。

「え?……あれっ?!」
焦った明日香が力いっぱいファスナーを上に引き上げたとき……

ビリッ!!

嫌な音が試着室に響いて、すました声の店員がカーテンの外で息を飲む音が聞こえた。



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